生成AIの使い方|作業を渡す前に決めておくこと

生成AIの使い方を調べると、どんな言葉で頼めばいいか、という話が並びます。ただ、返ってくるものが変わるのは、入力するよりもっと前の段階です。

僕が最初にお伝えしたいのは1つです。作業を渡す前に、自分の側で決めておくことがあります。ここが空っぽのまま頼むと、聞き方をいくら変えても、納得できるものは出てきません。

この記事では、渡す前に決めておく3つと、渡してはいけない仕事の線引きを整理します。

生成AIの使い方で差がつくのは、入力の前です

同じAIに、似たような頼み方をしても、出てくるものが使えるかどうかは人によって変わります。理由は道具の性能ではありません。頼む側が、何を作りたいのかをどこまで決めているかの差です。生成AIは、あいまいな頼み方にも、それらしい答えを返します。だからこちらがぼんやりしたままでも、形だけは整います。ところが、その形は誰にも宛てていないものになります。読んだ人が自分のことだと感じない文章ができあがるのは、たいていここが原因です。

使い方の練習に時間をかけても、この部分は上達しません。決めるのは人の仕事だからです。逆に言うと、決める中身がはっきりしている人は、少ない言葉で頼んでも使えるものを受け取れます。頼み方の見本を集めるより先に、自分の決めごとを持つほうが効きます。

だから最初にやることは、道具に慣れることではありません。渡す前に何を決めるのかを知っておくことです。

決めておくこと① その作業は何のためにやるのか

1つめは目的です。この作業が終わったとき、何が起きていてほしいのかを、自分の言葉で言えるようにしておきます。文章を作るなら、読んだ人にどう動いてほしいのかまで決めます。ここがないと、AIはそれっぽくまとまった文章を返してきます。まとまってはいるのに、読んだ人は何もしません。そういう結果になりがちです。

目的は、作る物そのものとは別だという点に気をつけてください。動画を作ることが目的ではなく、見た人に自分には必要だと感じてもらうことが目的です。文章を出すことが目的ではなく、悩んでいる人の疑問が1つ減ることが目的です。目的を先に置くと、出てきたものが合っているかを自分で判断できます。

目的は、短くていいので紙に書いてみてください。頭の中だけで済ませると、作業を進めるうちにずれていきます。書いた1行を横に置いて、出てきたものと見比べる。これだけで、直す場所が見つけやすくなります。

目的があいまいなまま量を増やすと、後から直す作業だけが積み上がります。

決めておくこと② 受け取る相手は誰か

決めておくこと② 受け取る相手は誰か

2つめは相手です。誰に向けたものなのかを、できるだけ狭く決めます。多くの人に届けたいと思うほど、宛先は広がります。ところが、広い宛先に向けた言葉は、誰の心にも引っかかりません。読む人は、自分に向けられていない言葉をすぐ見分けます。

相手を決めるときは、肩書きではなく困りごとで決めるほうが早いです。今どんな状態で、何ができなくて、どうなりたいのか。ここを何個も書き出しておくと、AIに渡す前から言葉が具体的になります。書き出す数は多いほうがいいです。3つでは足りません。数十個ならべてはじめて、本当に多い困りごとが見えてきます。

相手が決まっていれば、出てきた文章を読んだときに、この人はこんな言い方はしない、と気づけます。

決めておくこと③ 出てきたものを何で判断するか

3つめは判断のものさしです。受け取ったものが良いか悪いかを、何で決めるのかを先に持っておきます。ものさしがないと、読んだ感じが良ければ通してしまいます。読みやすさと、正しさと、役に立つかどうかは別の話です。

僕が見るのは3つです。書かれていることが事実かどうか。決めた相手の困りごとに正面から答えているかどうか。そして、自分が見てきたことが入っているかどうかです。AIは、事実でないことをなめらかな文章で書くことがあります。数字や固有の名前が出てきたら、自分で元の情報にあたって確かめます。ここを飛ばすと、出した後で困るのは自分です。

ものさしは、作業のたびに変わるものではありません。一度決めておけば、次からの判断が速くなります。

渡してはいけない仕事があります

渡してはいけない仕事があります

渡していいのは、たたき台を作る仕事です。案を出す、並べ替える、下書きを書く、別の言い方に直す。どれも量がいるので、人がやると時間を取られます。反対に、渡してしまうと自分の物でなくなる仕事もあります。誰のどんな困りごとを扱うのかを決めること。自分が見てきたことを足すこと。書かれていることが事実かを確かめること。そして、最後に出す形を決めることです。

AIは下書きの相棒であって、編集長ではありません。この線を引けているかどうかで、同じ道具を使っても結果が変わります。渡してはいけない部分まで渡した人は、出来上がったものを自分で説明できなくなります。説明できないものは、人に届きません。

線を引くと決めごとが増えて面倒に見えるかもしれません。ただ、渡す範囲がはっきりしている人のほうが、頼むときの言葉は短くなります。何を任せて何を残すかが決まっているので、そのたびに迷わないからです。

最初に渡す作業をどう選ぶか

渡す作業は、間違えても取り返しがつくものから選びます。案出し、言い換え、長い文の整理あたりが向いています。ここで感覚をつかんでから、少しずつ広げていくほうが安全です。いきなり本番の物を丸ごと任せると、直す量が多すぎて、結局は自分で書いたほうが速かったという話になります。

もう1つ、一度で完成させようとしないことです。渡して、出てきたものを読んで、足りない部分を伝えて、また直してもらう。この往復を2回か3回はやる前提で時間を見ておきます。全体のうち、下ごしらえの部分をAIが受け持ち、仕上げは自分が持つ。この配分を先に想定しておくと、期待はずれになりません。

生成AIの使い方は、覚える技ではなく、決める順番の話です。目的、相手、ものさし。この3つを置いてから渡してみてください。

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