AIを仕事に活用する|自分の時間を取り戻す使い方

AIを仕事に活用したい。そう思う理由の多くは、時間が足りないことだと思います。

ただ、時間は足りないのではなく、どこかで使われています。それがどこなのかを見ないまま道具を足すと、道具を覚える時間が増えるだけです。

この記事では、仕事のどの部分を渡せるのか、そして渡すと逆に時間が増える作業はどれかを整理します。

時間は足りないのではなく、どこかで使われています

1週間のうち、自分が何にどれだけ使ったのかを言える人は多くありません。感覚として忙しいことだけ分かっていて、中身は見えていない状態です。この状態でAIを入れると、手をつけやすい作業から速くなります。その作業がもともと10分しかかかっていなかったのなら、浮くのは数分です。

だから最初にやるのは、書き出すことです。1週間ぶんの作業を、思い出せる範囲で並べます。細かくなくてかまいません。並べてみると、思っていたより時間を取っている作業が2つか3つ見つかります。多くの場合、それは何かを調べる時間と、書き直す時間です。

書き出すときは、その作業が何につながっているかも横に書いておきます。つながる先が思い浮かばない作業は、速くする前に、やめられないかを考えるほうが先です。渡す相手を探すより、なくすほうが早いこともあります。

ここが見えてから、どれを渡すかを決めます。順番が逆だと、忙しさは変わりません。

仕事を3つに分けてみる

僕は、作業を性質で3つに分けて考えています。1つめは、決める仕事です。誰に向けるのか、何を出すのか、いくらにするのか。2つめは、材料をまとめる仕事です。案を並べる、下書きを作る、長い文を短くする、別の言い方を探す。3つめは、確かめて仕上げる仕事です。事実を照らし合わせ、読みにくい部分を直し、最後の形を決めます。

AIが得意なのは2つめです。量が必要で、正解が1つに決まらず、たたき台があれば前に進む種類の作業だからです。決める仕事と、仕上げる仕事は手元に残します。決める仕事を渡すと、出てきたものを判断できなくなります。仕上げを渡すと、間違いに気づけなくなります。

分け方に迷ったら、その作業を人に頼む場面を想像してみてください。頼むときに長い説明が要るなら、決める仕事が混ざっています。説明が短く済むなら、まとめる仕事です。この見方で、たいてい仕分けできます。

この3分けを紙に書いておくと、迷ったときの目印になります。

渡すと逆に時間が増える作業もあります

渡すと逆に時間が増える作業もあります

何でも渡せば速くなるわけではありません。時間が増える作業には共通点があります。出てきたものが正しいかどうかを、自分で判断できない作業です。自分が詳しくない分野の内容を任せると、確かめる作業に、書くより長い時間がかかります。

もう1つは、伝えるほうが手間になる作業です。相手の細かい事情や、これまでの経緯を全部説明しないと成り立たない仕事は、説明している間に自分でやったほうが速いことがあります。渡す前に、説明にかかる時間も足して考えてください。

渡す前に、出てきたものを何分で確かめられるかも考えます。確かめるのに30分かかるなら、作るのが10分で済んでも合計は40分です。ここを足して比べると、渡す判断を外しにくくなります。

この見積もりは、慣れるまで紙に書いてみてください。頭の中だけで比べると、渡したい気持ちのほうに引っぱられます。速くなる作業と、増える作業を分けられるようになると、判断が軽くなります。

一度で終わると思わないこと

渡してから返ってくるまでを、一往復で終わらせようとすると、たいてい期待はずれになります。出てきたものを読み、足りない部分を伝え、また直してもらう。この往復を2回か3回はやる前提で見積もっておきます。全体を10としたら、下ごしらえの部分をAIが受け持ち、仕上げは自分が持つ。この配分で考えると、時間の読みが合ってきます。

往復を前提にすると、頼み方も変わります。最初から完成品を求めず、まず方向だけ出してもらう。方向が合っていたら中身を広げてもらう。この進め方のほうが、後から直す量は減ります。

伝え方も具体的にします。よくないと言うだけでは、次も似たものが返ってきます。どこが合っていて、どこを変えたいのか。この2つを分けて伝えると、返ってくるものが近づきます。

自分にしか出せないものは残ります

自分にしか出せないものは残ります

仕事から渡せる部分を減らしていくと、最後に残るものがあります。自分が実際にやってみて分かったこと、うまくいかなかったときの理由、相手を見て決めた判断です。これはどこにも書かれていないので、AIも持っていません。

そして、この残った部分こそが、人から選ばれる理由になります。似た文章、似た提案が増えるほど、そこが目立ちます。だから、時間を取り戻す目的は休むためだけではありません。自分にしか出せない部分に時間を回すためです。ここを忘れると、速くなったのに存在感が薄い、という妙な状態になります。

残った部分は、記録しておくと後で使えます。うまくいかなかった理由や、そのときの判断をメモしておく。この積み上げが、他の人には真似できない材料になります。メモは長く書かなくてかまいません。日付と、やったことと、気づいたことの3行で足ります。

今週、どの作業から渡すか

最後に、今週やることを1つ決めます。書き出した作業の中から、量が多くて、間違えても戻せて、自分が良し悪しを判断できるものを1つ選びます。その1つだけを渡してみます。うまくいったら、次の1つに広げます。

いくつも同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。1つずつ動かすほうが、結局は早いです。渡してみると、思っていたのと違うところで止まります。その止まった場所が、次に直すところです。

やってみた結果は、簡単に残しておきます。どの作業を渡して、時間がどれくらい変わったのか。数字が残ると、次の判断が早くなります。仕事にAIを活用するというのは、道具に詳しくなることではなく、自分の時間の使い先を決め直すことです。

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