個人がAIで起業するという選択肢

AIで起業という言葉を見ると、何か新しい商売を始める話に聞こえます。技術がないと無理だと感じる人もいると思います。

先に僕の答えを書きます。個人がAIで起業するというのは、会社をつくる話ではありません。自分が解決できることを、続けて売れる形にすることです。AIは、その形を一人でも回せるようにしてくれる道具です。

個人がAIで起業するとは、会社をつくる話ではありません

起業と聞くと、法人を作る、事務所を借りる、人を雇う。そんな絵が浮かびます。ただ、個人が始めるときにやることは、もっと手前にあります。誰のどんな困りごとを引き受けるのかを決めて、その解決をお金と交換できる形にすることです。形さえできていれば、規模は後からどうにでもなります。逆に、形がないまま器だけ整えても、動くものがありません。

だから最初に向き合うのは、あなたが何を解決できるのかという問いです。特別な資格の話ではありません。人より少し先に通った道があれば、それは誰かにとっての近道になります。

もう1つ言っておきたいのは、いまの仕事を先に手放す必要はないという点です。形ができる前に収入の柱を1本にすると、判断が急ぎになります。焦って決めたことは、あとで戻すのに時間がかかります。

ここが決まると、次にやることが見えてきます。決まらないまま道具を集めると、詳しくなるだけで前に進みません。

かつて分業だった作業が、一人分に収まりました

個人がネットで商売をするとき、通る道は決まっています。知ってもらう、連絡先を持たせてもらう、提案する、受け取って届ける。この4つです。以前は、それぞれに人手が要りました。調べる人、書く人、作る人、直す人。ひとりで全部やろうとすると、時間が足りませんでした。

  • 知ってもらう(記事や投稿、広告)
  • 連絡先を持たせてもらう(登録と、その後の案内)
  • 提案する(話を聞く場)
  • 受け取って、届ける(支払いと渡し方)

AIが変えたのは、この前半の重さです。調べる、下書きを作る、言い換える、案を並べる。量が要る作業を任せられるようになりました。だから、ひとりでも4つの道を最後までつなげられます。個人がAIで起業するという選択肢が現実味を持ったのは、ここが理由です。

気をつけたいのは、AIが速くしてくれるのは作る部分だけということです。決める部分は速くなりません。むしろ、作るのが軽くなった分だけ、決めごとの重さが表に出てきます。

4つの道のうち、どこが弱いのかは人によって違います。自分がいまどこに立っているのかを言えるようにしておくと、次の一手が決まります。

それでも、人が向き合う場所は残ります

それでも、人が向き合う場所は残ります

全部が自動になるわけではありません。特に、提案の場面は人が向き合ったほうがうまくいきます。相手の話を聞いて、その人に合うかどうかを見る。この判断は、渡してしまうと後で困ります。合わない人が申し込んでくると、相手も自分もつらくなるからです。

提案の場は、売る場所であると同時に、こちらが相手を見る場所でもあります。自分のやっていることが、この人に本当に要るのか。ここを見ないまま数だけ増やすと、あとの手間が増えていきます。

話を聞く場は、月に何回持てるかで進み具合が変わります。ここを増やすことが、そのまま前進になります。だから前半を軽くするのです。

自動にする場所と、人が残る場所。ここを先に分けておいてください。分けずに作ると、途中で作り直すことになります。

誰に向けるかで、値段の相場は変わります

値段は、自分の頑張りでは決まりません。その分野で、だいたいいくらが動いているかに引っぱられます。同じ手間をかけても、扱う分野が違えば桁が変わることもあります。だから、値段を上げたいときに見る場所は2つです。1つは、誰に向けるかを変えること。もう1つは、その人が受け取るものを大きくすることです。

受け取るものが大きければ、払える金額も変わります。月に数千円の変化しか生まれないものに、大きな金額は出せません。相手にとっての戻りがどれくらいかを、先に言葉にしてみてください。

値段を決めるときは、近い分野で実際にいくらのものが売られているかを一度並べて見てください。自分の感覚だけで決めると、高すぎるか安すぎるかのどちらかに寄ります。

ここを飛ばして値段だけ上げると、売れないか、売れても後が続きません。順番としては、中身と進み方を決めてから値段です。

実績がないところから始めるとき

実績がないところから始めるとき

始めたばかりの人がいちばん困るのは、見せられるものがないことです。同じ値段が並んでいたら、人は実際にうまくいった話がある方を選びます。ここは正直に受け止めたほうがいいところです。だから最初は、小さく試す形から入ります。人数を絞って引き受け、その人の変化をきちんと残す。この記録が次の材料になります。

もう1つ、名前が知られていない状態では、話を聞いてくださいと言うだけでは人は来ません。参加すると何が分かるのか、何が持ち帰れるのか。そこをはっきり言葉にする必要があります。知られている人の真似をしても、同じようには動きません。

小さく引き受けるときも、進み方だけは先に決めておいてください。いつまでに何をするのかが決まっていないと、相手も自分も動けません。

小さな実績が積まれると、言えることが増えます。言えることが増えると、値段の話もしやすくなります。

個人がAIで起業するとき、最初に決める一つ

ここまでを踏まえて、最初に決めることを1つに絞ります。誰の、どんな困りごとに向き合うのかです。この一行が決まると、書く内容も、集める場所も、話す相手も決まります。逆にここが空欄だと、何を作っても手応えが出ません。

決めるときは、紙一枚で足ります。長い計画にすると、作った時点で満足してしまいます。仮でかまわないので短く決めて、動かしてみてください。動かすと、想像と違う場所で止まります。その止まった場所が、次に直すところです。

起業という言葉に構えすぎないことです。やっているのは、困っている人の話を聞いて、解決を渡して、対価を受け取る。この繰り返しだけです。

AIで起業するというのは、AIに詳しくなる競争ではありません。誰かの困りごとに向き合う人が、道具を1つ手にしただけの話です。

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