AIに文章を作らせるとき、人が最後にやること
AIに文章を作らせると、形の整ったものがすぐ出てきます。ただ、それをそのまま出しても、読んだ人の心は動きません。
僕が見ているのは、出てきた後の作業です。人が最後に手を入れる作業が4つあります。ここをやるかどうかで、同じ道具を使っても結果が変わります。
この記事では、その4つと、飛ばしたときに何が起きるのかを整理します。
AIの文章作成が担えるのは、途中までです
文章づくりを分けると、案を出す、構成を決める、下書きを書く、事実を確かめる、体験を足す、読みやすく整える、最後の形を決める、という工程になります。このうち前半は渡せます。量が必要で、たたき台があれば前に進む部分だからです。
後半は人が持ちます。理由は単純で、AIは自分が何を見てきたかを知らないからです。並んでいる言葉は、どこかにあった情報の組み合わせです。組み合わせ方が上手でも、そこに立っていた人の視点は入りません。読む人が知りたいのは、その視点のほうです。
工程を分けておくと、頼むときの言葉も変わります。全部まとめて任せるのではなく、今はどの工程を手伝ってほしいのかを伝える。この一手間で、返ってくるものの形がそろってきます。工程の名前を覚える必要はありません。前半は渡せて、後半は自分が持つ。その感覚だけあれば足ります。
出てきた文章は完成品ではなく、材料です。ここを取り違えなければ、後の作業は迷いません。
最後にやること① 事実を自分で確かめる
まず、書かれていることが本当かどうかを確かめます。AIは、それらしい数字や名前を、なめらかな文章の中に混ぜてくることがあります。文章が上手なぶん、読んでいて疑いにくいのが厄介なところです。
確かめる場所は決まっています。数字、日付、人や会社の名前、決まりごとの中身。ここが出てきたら、自分で元の情報にあたります。裏が取れないものは、そのまま出さずに落とすほうが安全です。出した後で違っていたら、責任を負うのは書いた人だからです。道具に任せた、は理由になりません。
確かめる作業を軽くするやり方もあります。もともと自分が知っている分野から書くことです。分かる分野なら、おかしい部分は読んだ瞬間に気づきます。知らない分野に手を伸ばすほど、確かめる時間は長くなります。
この作業だけは、どんなに慣れても省けません。

最後にやること② 自分が見てきたことを足す
次に、自分の材料を足します。実際にやってみて分かったこと、うまくいかなかったときの理由、途中で気づいた注意点。こうした中身はどこにも書かれていないので、AIは持っていません。
足すときは、感想で終わらせないことです。良かった、大変だった、だけでは読む人の役に立ちません。何をしたら、どうなったのか。どこで判断が分かれたのか。ここまで書くと、読む人が自分の場合に置き換えられます。あいまいな言い方も、できる範囲で具体的にします。しばらく、と書くより、どれくらいの期間だったのかを書くほうが伝わります。
足す場所を決めておくと楽です。それぞれの見出しの下に、自分の材料を1つか2つ入れる。全部に入れようとすると手が止まるので、入れやすい場所から埋めていきます。
この部分が、他の文章との違いになります。
最後にやること③ 読みやすさを整える
読みやすさは、中身とは別に効きます。1つの文には、主語と述語を1つずつにします。長くなった文は途中で切ります。同じ語尾が3回続いたら、言い換えます。です、です、です、と並ぶと、読む人は途中で飽きます。
難しい言葉も置き換えます。目安は、10歳の子が読んで分かるかどうかです。専門の言葉を使うと、詳しく見えます。ただ、伝わらなければ意味がありません。AIの下書きは少し硬い言い回しになりがちなので、ここは手で直す前提でいてください。
見た目のかたまりも整えます。改行を入れすぎると散らばり、詰めすぎると重くなります。2行から3行のかたまりが読みやすいです。書き終えたら、声に出して読んでみると、引っかかる場所が分かります。読みやすい文章には、書いた人の親切さがそのまま出ます。読む人は、それを感じ取ります。

最後にやること④ タイトルと見出しを決める
タイトルと見出しは、自分で決めます。ここは文章全体の入口で、読むかどうかが決まる場所だからです。案を出させるのはかまいません。ただ、選ぶのは人がやります。
決め方には順番があります。まず、この文章は誰の、どんな疑問に答えるのかを1行で言えるようにします。次に、その答えをタイトルに入れます。導入の文と、最初の見出しでも、同じ答えを出しておきます。タイトルで約束したことと中身がずれていると、読んだ人は途中で離れます。見出しだけを並べて読んで、話の流れが通っているかも見てください。
見出しは、順番にも意味があります。読む人が知りたい順に並んでいるか。答えを後ろに置きすぎていないか。ここを見直すだけで、途中で離れる人は減ります。見出しは、その1行だけを読んで中身が想像できるかも見てください。タイトルは、中身を書き終えてから決め直すほうがうまくいきます。
そのまま出すと、何が起きるか
4つを飛ばして出すと、どうなるか。まず、似たような文章が並びます。同じような下書きから作れば、言い回しも近づきます。読む人は、どこかで読んだ気がすると感じて、途中で閉じます。
そして、書いた人が説明できなくなります。なぜその順番なのか、なぜその言い方を選んだのか。聞かれても答えられない文章は、質問が来たときに困ります。自分で確かめて、自分の材料を足したものなら、いくらでも説明できます。
4つと聞くと多く感じるかもしれません。ただ、慣れてくると流れ作業になります。確かめる、足す、整える、決める。この並びを覚えておいてください。AIに文章を作らせること自体は、何の問題もありません。分かれ目は、その後に人の手が入っているかどうかです。
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