会社を辞めたいと思ったとき、先に用意しておくもの

会社を辞めたい。そう思いながら、次の朝もいつも通り出勤しています。この状態が何か月も続いている人は、少なくないと思います。

ここでは、辞めたほうがいいとも、続けたほうがいいとも書きません。それは僕が決めることではないからです。書くのは、決める前に整理しておくことと、先に用意しておくと選択肢が増えるものについてです。

会社を辞めたい気持ちを、先に3つに分けます

辞めたいという言葉には、いくつもの理由が混ざっています。まとめたままだと、何を変えれば楽になるのかが見えません。ですから、最初に分けてみてください。仕事の中身が合っていないのか、人との関係がつらいのか、時間の使い方に納得できていないのか。この3つです。

分けてみると、打つ手が変わります。仕事の中身が理由なら、社内で担当を変えるだけで気持ちが落ち着くこともあります。人が理由なら、その人がいなくなれば問題は消えます。時間が理由なら、辞めても別の場所で同じことが起きるかもしれません。

実際にやってみると、3つのうち1つが飛び抜けて重いことが多いです。全部がつらいと感じていても、書き出すと重さの差が出ます。重いものが分かれば、次に何を試すかが決まります。なお、体や心の調子に出ている場合は、この整理より先に休むこと、そして専門の人に相談することを考えてください。がまんで解決する話ではないからです。

会社を辞めたいなら、細くても通っている道を用意する

辞める前に用意するものというと、貯金の額を思い浮かべる人が多いです。お金はもちろん要ります。ただ、それ以上に効くのは、会社の外で1円でも受け取った経験があるかどうかです。

金額の大小ではありません。誰かがあなたに対してお金を払った、という事実があるかどうかです。この経験があると、外の世界の仕組みが少し見えます。人はどういうときに払うのか、どこで迷うのか。これは中にいると分かりません。

1円も受け取ったことがない状態で外に出ると、収入をゼロから作りながら生活も守ることになります。両方を同時にやるのはかなり大変です。だから、細くていいので道を1本通しておきます。通ったことがある道は、太くするだけで済みます。まだ通っていない道は、まず場所を探すところから始まります。この差が、辞めた後の数か月に出ます。

お金より先に、時間の使い方を決めておく

お金より先に、時間の使い方を決めておく

会社を辞めると、時間が空きます。この空いた時間をどう使うかを決めていない人は、思ったより多いです。時間ができれば動けると考えていたのに、実際には何もしない日が続きます。よく聞く話です。

会社には、始まる時刻と、やるべきことが用意されています。この2つが外から与えられているから動けている面もあります。外に出れば、両方とも自分で用意しなければいけません。ここを甘く見ると、自由になったはずの時間が、ただの空白になります。

ですから、辞める前に試しておくといいです。今の生活の中で、平日の朝でも夜でもかまいません。決めた時間に決めたことをやります。これが2週間続くかどうかを見ます。続かないなら、その原因は会社ではなく別のところにあります。辞めても同じことが起きるので、先に分かっておくほうが得です。

今の会社にいるうちにしかできないこと

辞めると決めた人ほど、残りの期間を消化のように過ごしがちです。もったいないと思います。中にいるうちにしか手に入らないものが、いくつかあります。

1つは、仕事のやり方を自分の言葉でまとめておくことです。毎日やっているから当たり前に見えているだけで、外の人から見ると知らないことばかりです。どういう順番で進めるのか、どこで判断が分かれるのか。これを書き残しておくと、後で自分の材料になります。

もう1つは、人との関係です。会社の名前があるうちのほうが、話は通りやすいです。ただし、辞めた後の当てにするために付き合うと、相手に伝わります。そうではなく、今やっている仕事をきちんとやります。その積み重ねが、結果として後に残ります。

3つ目は、お金のかかることを先に済ませておくことです。健康の面で気になっているところを見てもらったり、必要な手続きを進めておいたりすることです。どれも、会社に所属している間のほうが動きやすい場面があります。辞めてから慌てて調べると、時期を選べません。

「会社を辞めたら本気になれる」は当てにしない

「会社を辞めたら本気になれる」は当てにしない

退路を断てば動ける、という言い方があります。実際にそれで動き出した人もいるでしょう。ただ、これを前提に計画を立てるのは危ないです。追い込まれたときに人が選ぶのは、たいてい目の前のお金になる作業だからです。

目の前のお金を追い始めると、時間のかかる作業が後回しになります。ところが、収入の道を作る作業は、時間をかけないと形になりません。ここが後回しになると、いつまでも同じ場所を回ることになります。

今の状態で1時間も動けていないなら、辞めた後に8時間動けるとは限りません。逆に、疲れた平日の夜に30分でも手をつけられているなら、それは外でも通用する動き方です。判断の材料になるのは、決意ではなく今の行動のほうです。

判断する日を、カレンダーに置いておく

辞めたい気持ちを抱えたまま何年も過ごすのは、それ自体が消耗します。だから、決める日を先に置いてください。3か月後でも半年後でもかまいません。その日までに何がどうなっていたら動くのか、条件も一緒に書いておきます。

条件は具体的なほどいいです。外での収入がひと月にいくら出ていたら、とか、決めた時間に動くことが何週間続いていたら、といった形です。数字にしておくと、その日が来たときに迷いにくくなります。気分で決めると、どちらを選んでも後から揺れます。

その日が来て、条件を満たしていなかったとしても、失敗ではありません。何が足りなかったのかが分かった、というだけのことです。そこで次の期限をもう一度置きます。この置き直しを2回か3回やるうちに、自分がどこで止まりやすいのかが見えてきます。見えてくれば、手を打てます。

会社を辞めたいという気持ちは、消さなくていいです。ただ、その気持ちだけで動くと、選べる道が狭くなります。分けて見て、細い道を1本通して、決める日を置く。この3つをやっておくと、辞めるにしても続けるにしても、自分で選んだ形になります。

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