AIで仕事がなくなると言われる今、個人ができる備え
AIで仕事がなくなる、という話をあちこちで目にします。何年後になくなるのか、どの職業が消えるのか。並んでいる予想は、書いている人によってばらばらです。
正直に言うと、僕にはどれが当たるのか分かりません。分からないことを断定する気もありません。それでも、備えられることはあります。この記事では、そこに絞って書きます。
AIで仕事がなくなるかどうか、僕は言い当てられません
何年後にどうなるという予想を、僕は自分の言葉として出せません。裏を取れないからです。ですから、この記事では当たり外れの話はしません。代わりに、どちらに転んでも役に立つ準備の話をします。
ここで注意したいのは、不安を大きくするだけの情報の扱い方です。なくなると言われている、という話を何度も読むと、気持ちだけが焦ります。焦った状態で選ぶと、判断が雑になります。よく分からないものに手を出したり、必要のない出費をしたりしてしまいます。これは備えではありません。
やることは逆です。分かることと分からないことを分けます。分からないことは置いておき、分かる範囲で手を打ちます。この順番を守れば、不安に振り回されずに動けます。分かることのほうが、実は多いです。
なくなるより先に、仕事の中の配分が変わります
職業が丸ごと消えるより先に起きるのは、1つの仕事の中身の入れ替わりです。どんな仕事にも、いくつもの作業が入っています。調べる、まとめる、書く、確かめる、決める、伝える、あとで面倒を見る。この中で、渡しやすい作業と渡しにくい作業があります。
渡しやすい作業から先に手が離れていきます。そうすると、同じ職業名のままでも、1日の中身が変わります。書いている時間が減り、確かめる時間や決める時間が増えます。こういう変わり方です。
この見方に立つと、備えの方向がはっきりします。自分の仕事を作業に分けて、どれが渡しやすいのかを見ておきます。渡しやすい作業だけで1日が埋まっている人は、そこに気づけたことが備えの始まりです。職業の名前で心配するより、作業の中身で見たほうが手を打てます。

AIが得意なのは、たたき台をつくる仕事
今のところ、AIが力を発揮しやすいのは、案を出す、並べ替える、下書きを書く、言い方を変える、といった作業です。どれも量が要るので、人がやると時間がかかります。ここを任せると、手が空きます。
ただし、出てきたものをそのまま使うと、どこかで見たような中身になります。似たものに人は価値を感じません。ここを分かっていない人が、AIを使って量を増やし、結果が出ないまま止まっています。道具の性能の話ではなく、使い方の話です。
なぜそうなるのかというと、たたき台は多くの人が同じように取り出せるからです。誰でも取り出せるものには、差が生まれません。差がつくのは、そこに何を足したかのほうです。自分が見てきたこと、判断を誤った経験、相手から聞いた言葉。この材料を持っている人は、同じ道具からまったく別のものを作れます。
AIは下書きの相棒であって、編集長ではありません。この線引きを持っている人は、同じ道具を使っても違う結果になります。
人の側に残るのは、決めること・確かめること・引き受けること
渡しにくい作業を挙げると、3つに絞れます。1つ目は、何をやるかを決めること。誰のどんな困りごとを扱うのか、この案とあの案のどちらでいくのか。ここは責任が伴うので、道具には渡せません。
2つ目は、出てきたものが事実かを確かめることです。AIの出力には、間違いや古い情報が混ざります。これを確かめないまま出すと、信用が減ります。確かめる作業は地味ですが、価値が上がっている部分です。
3つ目は、引き受けることです。相手の前に立って、この形でいきましょうと言います。うまくいかなかったときには向き合います。ここは人にしかできません。この3つを自分の側に持っている人は、道具が変わっても仕事が残りやすいです。
逆に言うと、この3つを誰かに預けたままにしているほど、立場は弱くなります。決めるのは上の人、確かめるのは別の担当、相手と向き合うのは営業。そういう分け方の中で作業だけを担っていると、その作業が渡された日に持ち場がなくなります。今の職場の中でも、決める場面や確かめる場面に自分から入っておくことが備えになります。

AIで仕事がなくなる対策は、新しい道具を覚えることではありません
AIで仕事がなくなる対策と聞くと、まず使い方を覚えようとする人が多いです。覚えること自体はいいのですが、それだけでは足りません。道具はこれからも変わり続けます。特定の道具の操作を覚えても、次のものが出てきたら覚え直しです。
覚えるより先に持っておきたいのは、自分が何を決められる人なのかという中身です。誰の困りごとに向き合ってきたのか、どこで判断を誤ったことがあるのか。この経験は、道具が変わっても持ち出せます。
もう1つの備えは、会社の名前の外でも通じる形を細くでも持っておくことです。会社の中で評価されている力と、外で受け取ってもらえる力は、同じとは限りません。1円でも外で受け取った経験があると、自分がどちらを持っているのかが分かります。
ここで言う形は、大きな事業のことではありません。誰かの困りごとを聞いて、自分にできる範囲で手伝い、その対価を受け取る。この一往復が通っていれば十分です。通したことがある人は、状況が変わったときにもう一度通せます。通したことがない人は、まず場所を探すところから始めることになります。
AIで仕事がなくなると言われる今、今日からできる対策
やることを3つに絞ります。1つ目は、自分の1日を作業に分けて書き出すこと。2つ目は、そのうち渡しやすい作業を1つ選んで、実際に渡してみること。3つ目は、空いた時間を決めること・確かめること・引き受けることのどれかに回すことです。
3つ目がいちばん抜けやすいです。空いた時間を、そのまま別の作業で埋めてしまう人が多いからです。それでは配分が変わりません。空いた時間を何に使うかを先に決めておかないと、忙しさだけが戻ってきます。
AIで仕事がなくなるかどうかは、僕には分かりません。ただ、渡せる作業を渡し、人の側に残るものを厚くしておきます。これは今日からできます。予想を追いかけるより、自分の1日の中身を変えるほうが、たしかな備えになります。
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