起業したら自由な生活になるのか

起業したら自由な生活になる、と思って会社を出た人が、始めてみたら前より忙しくなったと感じることがあります。よく聞く話です。

自由という言葉が、ひとかたまりで使われているのが原因だと僕は思っています。中身を分けると、手に入りやすいものと、後からしか来ないものがあります。この記事では、その順番を整理します。

起業してすぐ自由な生活になるとは限りません

始めた直後は、やることがいちばん多い時期です。集める、話す、作る、届ける、お金のやりとりをする。会社なら別々の人がやっていたことを、全部ひとりで持つことになります。時間の面で言えば、会社員のときより長く働く人も珍しくありません。

それでも続けられるのは、自分で決められるからです。何をやるか、いつやるか、誰と組むか。この決定権が自分にあることは、大きな違いです。ただ、決定権があることと、時間が空いていることは別の話になります。ここを混ぜて期待していると、始めてすぐに落差を感じます。

だから、起業したら自由になれるかという問いには、いつの話ですかと聞き返したくなります。3か月後と3年後では、答えが変わるからです。最初の時期がきついのは、うまくいっていないからではありません。まだ道を作っている最中だからです。

「自由」を4つに分けてみる

ひとまとめの自由を、僕は4つに分けて考えています。時間の自由、場所の自由、付き合う相手の自由、お金の自由です。この4つは、手に入る難しさがそれぞれ違います。

  • 場所の自由(どこで働くか)
  • 付き合う相手の自由(誰と組み、誰と組まないか)
  • 時間の自由(いつ働き、いつ休むか)
  • お金の自由(いくら入るか、いつ入るか)

この順番は、手に入りやすいと僕が感じている順です。場所は、始めた日から変えられます。誰と組むかも、自分で選べます。この2つは、収入がまだ小さくても手に入ります。

難しいのは後ろの2つです。時間の自由は、自分が動かなくても回る部分ができてこないと来ません。お金の自由は、毎月の入り方が安定してから来ます。始めたばかりの人が感じる不自由さは、たいていこの2つの話です。分けて見ると、今の自分が何を手にしていて、何がまだなのかが分かります。

最初に来る自由と、後から来る自由

最初に来る自由と、後から来る自由

始めてすぐ変わるのは、朝の時間です。通勤がなくなる、着るものが変わる、誰と話すかを選べる。この変化は小さくありません。合わない環境から離れられただけで、気持ちが楽になる人もいます。

ただ、この段階で手に入っているのは、場所と相手の自由までです。時間とお金の自由は、まだ来ていません。ここで期待していたものと違うと感じて、やり方を変えてしまう人がいます。もう少しで次の段階だったのに、と思う場面です。

最初の時期に感じる不自由さは、失敗の合図ではなく、順番の途中にいるという合図です。ここを知っているかどうかで、続け方が変わります。

自由を遠ざけるのは、全部を自分で回し続ける形

時間の自由が来ない原因は、はっきりしています。仕事の全部が、自分が動くことで進む形になっているからです。相手を集めるのも、日程を決めるのも、案内を送るのも自分。この形だと、休んだ分だけ全部が止まります。

ここを変えるには、自分が毎回やらなくていい部分を切り出していきます。たとえば、日程を決めるやりとりは、相手が自分で選べる形にできます。同じ説明を毎回するなら、一度まとめておけば繰り返さずに済みます。1つずつは小さいのですが、積み上がると空く時間の量が変わります。

大事なのは、切り出す順番です。いちばん多く繰り返している作業から手をつけます。年に1回の作業を自動にしても、生活は変わりません。毎週やっていることを1つ減らすほうが、はるかに効きます。

ここで気をつけたいのは、全部を人に渡そうとしないことです。何を提供するかを決める場所と、相手の前に立つ場所は、自分の側に置いておきます。ここまで渡してしまうと、自分が何をやっている人なのか分からなくなります。渡すのは繰り返しの作業、残すのは決める作業。この線を引くと、空いた時間が意味のある時間になります。

仕組みができると、何が変わるのか

仕組みができると、何が変わるのか

常に募集している状態を作り、相手が自分で申し込みや予約をしてくれる形になると、動き方が変わります。こちらは決まった時間に話すところから入れば済みます。全部が自動になるわけではありませんが、自分が張り付いている時間は減ります。

もう1つ変わるのは、収入の入り方です。期間を区切って一度に売る形だと、売れた月と売れない月の差が大きくなります。いつでも入れる形にしておくと、毎月少しずつ入る形に近づきます。この差は、生活の落ち着きに直結します。

ここまで来ると、時間とお金の自由が少し見えてきます。ただし、これは始めた日から手に入るものではありません。人が通る道を作り、通った人の反応を見て直します。この作業を積んだ先にあるものです。順番を飛ばして自由だけを先に取りにいくと、たいてい元に戻ります。

起業する前に、自由な生活の中身を決めておく

起業を考えるなら、自分にとっての自由が4つのどれなのかを先に決めておくといいです。全部ほしいと答える人が多いのですが、優先順位を付けてみると、本当に欲しいものは1つか2つに絞れます。

朝の時間がほしいのか、収入の波をなくしたいのか、合わない相手と関わりたくないのか。ここが決まると、作るべき形が変わります。朝の時間がほしい人と、収入を安定させたい人では、手をつける場所が違うからです。この整理をしないまま始めると、何を作っても満たされない感じが残ります。

もう1つ添えておきたいことがあります。会社を出ないと手に入らない自由と、中にいても手に入る自由があるということです。誰と組むかは選べないかもしれませんが、時間の使い方は今日から少し変えられます。順番を知っておくと、今の場所でできることが見えてきます。全部を一度に手放す必要はないと僕は思っています。

起業したら自由な生活になるのか。答えは、どの自由を、いつ手に入れたいかによります。分けて、順番を知って、手前から作る。この進め方なら、途中の不自由さも意味のある時間になります。

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