商品のコンセプトの作り方|売れる前に決まっていること
商品が売れないとき、多くの人は売り方を直そうとします。書き方を変え、見せ方を変え、値段を下げる。ところが、動かないことがあります。
僕が見るのは、その手前です。商品のコンセプトは、売り出す前の段階でほとんど決まっています。売れるかどうかは、作る前に何を決めたかで大きく変わるからです。この記事では、その手前の作業を整理します。
商品のコンセプトは、売り出す前に決まっています
コンセプトとは、この商品は誰の何を解決して、どんな状態まで運ぶのか、という中身のことです。名前でもキャッチコピーでもありません。ここが決まっていれば、売る場面で言うことは自然に出てきます。決まっていなければ、どれだけ言葉を磨いても中身は変わりません。
売れない商品の多くは、作った人が渡したいものから出発しています。自分が話したいこと、教えたいこと、持っている知識。そこから組み立てると、受け取る側の困りごととずれます。ずれた商品を、言葉の力で売ろうとすると無理が出ます。
出発点は、相手の側に置いてください。相手が今どこにいて、どこへ行きたいのか。その間を埋めるものが商品です。この順番で作ると、売る場面が驚くほど楽になります。説明ではなく、当てはまるかどうかの確認になるからです。
悩みを集めて、原因まで下りる
最初にやるのは、相手の困りごとを集めることです。ここで手を抜くと、あとが全部ぼやけます。思いつく限り並べてみてください。数が少ないうちは、たいてい自分の想像の範囲に収まっています。
そのうえで、もう一段下ります。並べた困りごとは、多くの場合は表に出ている症状です。時間がない、続かない、結果が出ない。これらの下に、共通する原因が隠れています。原因まで下りないまま解決策を出すと、その場しのぎの商品になります。
原因が見えると、商品の中身が絞れます。全部の症状に手を出す必要がなくなるからです。ここを飛ばして中身を増やしていくと、たくさん入っているのに何のための商品か分からない、という状態になります。多いことは、価値の証明にはなりません。
集めるときは、自分の頭の中だけで済ませないでください。実際に困っている人が使った言い方を、そのまま書き留めておきます。言い方の中には、その人が何を重く見ているかが残っています。この言葉は、あとで伝えるときにそのまま使えます。

理想の状態を、相手の言葉で描けるか
次に決めるのが、行き先です。この商品を受け取ると、相手はどんな状態になるのか。ここを具体的に描けるかどうかが、大きな分かれ目になります。
気をつけたいのは、自分の言葉で書いてしまうことです。作った側は、内側の言葉を使いがちです。相手はその言葉を使いません。相手が普段口にしている言い方で書けているかを見てください。聞いたことのある言い回しなら、自分のことだと感じてもらえます。
もう1つあります。行き先は、大きければいいわけではありません。手が届く距離にあるかどうかが大事です。遠すぎると、自分には無理だと感じて離れていきます。近すぎると、お金を払う理由になりません。今の相手から見て、届きそうで届いていない場所です。ここを狙ってください。
渡すものより、どう進むかを見られています
ここが多くの人の抜けている部分です。商品の説明が、渡すものの一覧になっていることがよくあります。何が入っているか、何回あるか、何時間あるか。受け取る側が知りたいのは、そこではありません。
知りたいのは、どう進むのかです。最初に何をして、次に何が変わって、どのあたりで手応えが出るのか。この道筋が見えると、自分にもできそうだと感じます。逆に、渡すものだけ並べられても、たどり着けるかどうかは判断できません。
手段の一覧ではなく、進み方を先に見せてください。ここを用意している商品は多くありません。だから、それだけで違って見えます。作る側にとっても、進み方を書き出す作業は役に立ちます。抜けている部分が、そこで見つかるからです。

断る理由を、先に消しておく
いい商品でも、受け取ってもらえないことがあります。理由はだいたい決まっています。お金の都合、時間の都合、自分にできるかどうかの不安。この3つです。
ここを、売る場面で言われてから考えると遅いです。作る段階で先に消しておきます。支払い方に幅を持たせる、続けやすい形にする、つまずきやすい部分を手伝う、といったことです。どれも、思いついたその場では出てこない工夫になります。作りながら考えておく必要があります。
そして、消せない引っかかりもあります。その相手には合っていない、という場合です。無理に消そうとしないでください。合わない人に受け取ってもらうと、そのあとが続きません。断る理由を消す作業は、合う人を通しやすくするための作業です。誰でも通す門を作る作業ではありません。
引っかかりは、聞かれる前から見えているものが多いです。何度か話していると、同じ質問が繰り返されます。同じ質問が出るなら、そこは説明が足りていない場所です。商品の側で先に埋めておいてください。
ここまで決まると、言葉は後から出てきます
相手、困りごと、原因、行き先、進み方、引っかかり。ここまで決まっていれば、商品を伝える言葉はもう手元にあります。あとは並べ替えるだけです。書けないと悩んでいる人の多くは、文章が苦手なのではありません。決めていないだけです。
白い紙に向かってうなるより、決めた中身を順番に置いていくほうが早いです。うまい言い回しが要る場面もありますが、それは最後の仕上げです。中身が決まる前に言葉を探すと、いつまでも決まりません。
商品のコンセプトの作り方は、ひらめきの作業ではありません。相手のいる場所と行き先を調べて、その間に道を引く作業です。この作業をどれだけ丁寧にやったかが、売り出したあとに表れます。
そして、決めた中身が一度で当たるとは限りません。売り出したあとで、思っていた困りごととずれていたと分かることもあります。そのときは、中身のほうに戻ってください。売り方だけを直しても、ずれは埋まりません。
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