プロンプトの書き方|AIに伝わる指示の形
プロンプトの書き方を調べると、長い例文がたくさん出てきます。そのまま真似してもうまくいかない。そう感じたことはありませんか。理由は単純で、例文は他人の目的に合わせて作られているからです。
僕がおすすめするのは、例文ではなく形を覚えることです。伝わる指示に入っている要素は、実はそれほど多くありません。ここでは、その要素と置き方の考え方を整理します。
プロンプトの書き方は、言葉づかいではなく中身の置き方で決まります
まず、勘違いを1つ外しておきます。プロンプトは、丁寧に書くほど良い結果になるものではありません。敬語で長く頼んでも、伝えている中身が同じなら、返ってくるものも同じです。変わるのは、渡した情報の中身と並べ方です。
人に仕事を頼む場面を思い浮かべてください。何のために、誰に向けて、どこまでやってほしいのか。これが伝わっていれば、口調が事務的でも仕事は進みます。逆に、これが抜けていれば、いくら丁寧に頼んでも見当違いのものが返ってきます。
AIへの指示も同じです。書き方の上手さとは、飾りの上手さではなく、抜けを作らない設計のことです。ここを押さえると、短い指示でも十分に伝わるようになります。
もう1つ外しておきたい思い込みがあります。魔法のような言い回しがどこかにある、という考えです。特別な呪文を探して時間を使うより、自分の目的を短く言えるようにするほうが、結果への近道になります。
伝わる指示に入っている要素は、そんなに多くありません
指示に入れておきたい中身は、大きく4つに分けられます。何のためにやるのかという目的。誰に向けたものかという相手。外せない条件と、避けたいこと。そして、どんな形で出してほしいかという出力の姿です。
この4つのうち、抜けやすいのは相手と、避けたいことです。目的は多くの人が書きます。ですが、誰に向けたものかを書かないと、AIは一番広い読者を想定します。その結果、当たりさわりのない中身になります。
避けたいことも同じです。入れてほしくない表現、使ってほしくない切り口を伝えないと、よくある形に寄っていきます。何をしてほしいかと同じくらい、何をしてほしくないかが効きます。
要素をそろえると言っても、全部を毎回書く必要はありません。同じ相手に同じ種類のものを頼むなら、前のやりとりで伝えた部分は省けます。抜けやすい要素だけを覚えておけば十分です。

順番を変えるだけで、返ってくるものが変わる理由
同じ要素を入れていても、置く順番で結果が変わります。先に書いたものほど、全体の方向づけとして働くからです。だから、目的と相手を前に置き、細かい条件を後ろに置くほうが噛み合いやすくなります。
やりがちなのは、細かい注文から書き始めることです。文字数、語尾、見出しの数。こうした条件を先に並べると、条件は満たしているのに中身がずれたものが返ってきます。条件は形を整えるためのもので、方向を決めるものではありません。
迷ったら、大きいことから小さいことへ、という並べ方にしてください。何のために、誰に、何を、どんな形で。この流れは、人に説明するときの自然な順番でもあります。
順番の考え方は、地図を渡してから道順を言うのに似ています。行き先を知らない相手に道順だけを伝えても、途中で迷います。方向を先に、細部を後に。この並びを守ると、直しの回数が減ります。
曖昧な言葉が、いちばん結果を鈍らせます
指示の中で足を引っぱるのが、意味の広い言葉です。分かりやすく、いい感じに、しっかりと。こうした言葉は、書いた本人は伝えた気になりますが、受け取る側には何も決まりません。
分かりやすくと言うなら、誰にとって分かりやすいのかを添えます。読み手の前提知識が違えば、分かりやすさの中身も変わるからです。この一手間で、返ってくるものはかなり変わります。
指示の曖昧さは、そのまま答えの曖昧さになって返ってきます。自分の書いた指示を読み返して、意味が2通りに取れる言葉があれば、そこが直す場所です。
意味の広い言葉を見つけたら、消して置き換えるより、具体を足すほうが早いです。読みやすくという言葉を残したまま、誰がどんな場面で読むのかを一言添える。それだけで、受け取る側の迷いは減ります。

出したい形を決めておくと、直しの手間が減ります
もう1つ効くのが、出力の形を決めておくことです。文章なのか、案の一覧なのか、比べた表なのか。形が決まっていないと、受け取ったあとに自分で並べ直す作業が発生します。
形を決めるときは、そのあと自分がどう使うのかから逆に考えます。そのまま人に見せるのか、自分の下書きにするのか、判断の材料にするのか。使い道が違えば、欲しい形も変わります。
ここを決めずに頼むと、毎回きれいな文章が返ってきます。読むぶんには気持ちいいのですが、そこから自分の作業が始まってしまいます。手間を減らしたいなら、形の指定は早い段階で入れておくほうがいいです。
形を指定するときは、細かすぎないほうが扱いやすいです。がちがちに枠を決めると、中身がその枠に合わせて薄くなります。おおまかな形だけ決めて、中身は往復で詰めていくほうが、良いものになりやすいです。
プロンプトの書き方を覚える前に、自分の中で決めておくもの
ここまで要素と順番の話をしてきましたが、大前提があります。目的と相手が自分の中で決まっていないなら、どんな書き方をしても答えは定まりません。書き方の問題に見えて、決めていない問題であることが多いです。
だから、指示を書く前に短く自問してください。これは何のために作るのか。誰が読むのか。読んだ人にどうなってほしいのか。この3つに答えられるなら、指示は自然と書けます。
もし決められないなら、僕はそこを相談してみることをおすすめします。何を決めればいいのかを一緒に洗い出す使い方もあります。答えを出させる前に、問いを整える。この使い方は意外と効きます。
書き方の型は、その答えを並べるための箱にすぎません。箱を先に覚えても、入れるものがなければ空のままです。決めてから書く。この順番を守るだけで、返ってくるものは変わります。
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